
天然石と触れていると天然石というのは人と似ているなあと思うことがあります。天然石には、もともとはきれいな結晶だったのだけれども、圧力がかかってそれに耐え切れなくなり、亀裂が入ってしまったり、空洞ができてしまうものがあります。天然石は、長年の結晶の形成過程で異物が混ざり合い、さまざまな表情を作り出します。それゆえ、まったく同じものはないというのが天然石の魅力の一つです。
亀裂や空洞、インクルージョン(石の中に含有する傷や異物のこと)は、ある意味、そうでないものに比べて、痛々しかったり、天然石にとってはあまりいいことのように思えません。しかし、人はこれらによってできるレインボーや穏やかな独特な輝きを珍重し、個々の表情をを楽しみます。人の人生も同じようなことがいえます。
誰とて同じ人生などありません。さまざまな影響を受けて人の性格や表情は作られていきます。もともとあった素質のなかに、環境因子が作用して、人の人格は形成されていきます。珍重されるのは、傷や混ざり物があるからこそ表現できる輝きです。無垢な美しさというものがあります。それと同時に、無垢でない美しさというのがあります。自分や他人の中にある無垢な部分と同じように、自分や他人のそうでない部分を愛せるひとでありたいと天然石に触れるたびに思うのです。
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